モデル事業代表あいさつ -関東甲信越地区

順天堂大学
医学部 麻酔科学・ペインクリニック講座
(大学院 医学研究科疼痛制御学 併任)
教授

井関 雅子

慢性疼痛は、「3ヶ月以上持続するまたは繰り返す痛み」と定義されています。諸家の疫学研究において、日本人の慢性疼痛保有率は約30%という結果が出ています。また、痛みが長く続くことで、身体の活動が制限されたり、情緒や感情、睡眠などにも悪影響を及ぼすことから、生活の質が全体的に低下することが知られています。さらに、様々な環境要因などが絡み合うことで、痛みは複雑化していくと言われています。そのため、高齢者においては自立支援の観点から、若中年者においては学校や社会生活を維持する目的で、慢性疼痛をコントロールすることは、非常に重要であることが明らかになってまいりました。そこで、厚生労働省において、慢性疼痛診療システム普及・人材育成モデル事業が立ち上がりました。疼痛領域の専門医と多職種が協力してチーム診療を推進することで、複雑化した慢性疼痛の緩和をめざすこと、患者にご自身の生活を取り戻してもらうこと、で社会貢献につなげようという取り組みです。本事業の担う役割は、痛みセンターの存在を一般の皆さまにも明らかにすること、各痛みセンターや連携医療機関との連携を作ることで患者さんが治療を受けやすい環境を整えること、さらに慢性疼痛診療に専門性の高い多種の医療従事者を育成すること、にあります。わたしども関東甲信越地区の痛みセンターも、本事業を通して、1人でも多くの患者さんのお役に立てるよう日々心がけて診療を致しております。さらに未来を背負う人材の育成にも積極的に取り組んでおります。
どうぞよろしくお願い申し上げます。